『「第5の戦場」サイバー戦の脅威』を読みました2012年07月24日 21:24

『「第5の戦場」サイバー戦の脅威』は元・陸上自衛隊システム防護隊の初代隊長が書かれたものです。私は今まで新聞報道やWEB記事で、その手の話はある程度フォローしていたつもりでしたが、そこではわからなかったいろいろな事情が詳細に記されていました。

例えば、スタクスネットはイランのウラン遠心分離器の破壊を狙って作られたもので、シーメンスのシステムに感染したらしいことは知っていましたが、その制御ソフトウェアの名称が「ステップ7」という名前であり、またウィンドウズのOSの脆弱性を狙って5つものゼロデイアタックが用意されていたことまでは、恥ずかしながら把握していませんでした。

また、アメリカがオサマ・ビン・ラディンをパキスタンで殺害したとき、何故パキスタンの主権侵害として問題にならなかったのかよく理解できていませんでした。アメリカが「テロとの戦い」を宣言した際、私はものの例えかと思っていましたが、本当のリアルな何でもありの戦争を意味していたから、とのことです。

アメリカは、サイバー空間を陸、海、空、宇宙に次ぐ第5の戦場と位置づけ、他国からのサイバー攻撃は「戦争行為」であり、断固として報復する(サイバー空間上での防御、反撃にとどまらず、通常戦力を使った武力による報復も辞さない)方針を2011年7月の「サイバー戦略」で公式に示したそうです。

ひるがえって我が国の状況について、著者は自衛隊に関する法的な制約などを指摘しています。具体的なコメントは差し控えますが、貴重な指摘であるようにも思えました。

サイバー戦争の現状について、リアルかつ詳細なお話が好きな方は、一読することをお勧めします。